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VOCALOIDの曲をテーマにした二次創作小説です。

   
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ミクの事で、誤解したカイト君がどっか行ってしまい
ミクはとっとと寝てしまったあと

リンはさっきのカイトのちょっと見当の違う説教ぽい事をレンにも話そうと
レンが帰ってくるのを待っていた
しばらくすると、玄関のドアが開く音がした

リンが玄関まで迎えに行くとレンが帰ってきた

リン「あ、おかえりー。」

レン「うん、ただいま。」

レンは腰をおろし靴紐をほどきながら
すぐに話しはじめる

レン「今、そこでカイト兄に会ったんだけど・・・」

リン「あ・・・、そうなんだ・・」

リンはちょっと意地悪な苦笑である

レン「今日は帰るの遅くなるって、メイコ姉に言っておいてくれって、言ってたけど。
なにかあったの?、ちょっと変だったような気がするけど・・・・」

二人は話しながら玄関から居間へと歩く
リンはついさっきまで、ミク達の様子を窺いながら盗み聞きして
カイトがミクの事で誤解したのは勘付いているようで

リン「あー、ちょっと・・・、ミク姉の事で・・・」

リンは何故か、わざとちょっと小声で話す

レン「えっ、ミク姉がどうかしたの?、大丈夫なのか?」

リン「ミク姉は大丈夫なんだけど・・・、カイト兄がね・・、ミク姉のその・・・、彼の事で・・・・・」

レン「えっ。」

リンは帰ってくるなりミクやカイトの事ばかり話す
レンにガッカリしたのか少し嘘をついてしまう
しかし、このリンの言葉にレンはすごく驚いた顔をした

リン「どうしたの?、レンも知ってるでしょ。」

レン「いや・・・、聞いてないけど・・・」

リンが思っていたよりも、レンがすごく驚いている様子で
リンはそんなレンに驚いてしまう

リン「それでね、さっき、カイト兄がミク姉に帰りが遅いって怒ったんだよ。
それで、ミク姉が彼の事を話したらカイト兄、怒って出てっちゃった。」

レン「・・・・・・。」

リンは早口でまくしたてる

レン「・・・・リン、本当に・・?」

リン「やだ、レン。ホントだと思ったの?・・・、カイト兄が、
そうゆう風に勘違いして怒っちゃったみたいなんだけど・・・
カイト兄おかしいよね。」

リンはどうしてこんなにイライラするのかもわからずに話してしまう

レン「・・・ちょっとごめん、リン。ちゃんと話してくれるかな。」

もうずっとリンが聞いた記憶がないような
普段とは違う冷たい声色のレン

リン「・・・・。」

リンも少し黙ってしまう
黙るリンを、ただレンは何も言わずに見つめる

リン「さっきまでカイト兄とミク姉が話してるのを聞いてたの。」

レン「うん・・・。」

リン「それで、カイト兄がミク姉の帰りが遅いって、
怒ってるみたいだったんだけど。
ミク姉が、彼がいて帰りが遅いみたいに言うから・・・
カイト兄が勘違いしたみたいで・・・。」

レン「うん・・。」

リン「それで、カイト兄は出てっちゃったみたいで・・・、」

レンは抑揚のない
小さな相づちを打ちながらリンの話しを聞いている

レン「そうなんだ。」

リン「うん・・・・」

少し意地悪だけれど、他愛のないリンの話しに
レンは冷たいと思えるような、意外なような反応である

レン「うん、わかった、リンごめんね。」

リン「え・・・、あ、いいよ別に・・・、じゃもう私寝るね。」

レン「あぁ、うん。おやすみ。」

リンは、なんだかいつもとは違うような、上の空のようなレンの様子を
おかしいように思いつつも、すぐに逃げるように自分の部屋に
涙ぐみながらパジャマに着替えると、ベッドに潜り込んだ

せっかく、楽しく話しをしようとレンの帰るのを待っていたのに
どうして今日は、こんな風になってしまったのだろうかと
リンは眠れないまま考えてしまう

リン(レンどうしちゃったんだろう?絶対、いつもと違うよ。嫌な事があったの?酷いよ・・・)

ついさっきのレンの冷たい声が浮かんでくると
リンは、何故だか急に涙があふれて止まらなくなる

リン(レンは・・・、私の事、好きなんでしょ・・・・
ずっと一緒だもの、好きだから・・・、だから、私を助けてくれるんでしょ・・・)

夜は更けていくけれど、リンはどうどう巡りの気持ちのまま
そんな特別な何ががあった訳でもないのに、気持ちの落ち込みが止まらない

リン(なんか、疲れた・・・。もう私なんか生まれてこなくてもよかったかも・・・、あれ、でも・・・、

私が生まれてなかったら・・・
双子なんだから・・レンもいないのかな・・・、それとも、私がいなくてレンだけになるのかな・・・、

レンは私がいなくても平気かな・・・、
でも、もしかしたらレンがいなくて私だけだったかもしれないのかな・・・
私はレンがいなくても平気なの・・・かな・・・・・?)

リン(・・・・・・)

リンは、考える事に疲れて眠りに落ちていく
いつもとは違う涙の後の眠りの中で
リンは夢を見た

夢の中のリンは、ベッドに横になっているのだけど
いつもの自分の部屋とは違う部屋のようで
携帯を片手に誰かとメールしている


リン「また、とぼけた事ばっかり言って。」

リンは楽しそうにメールをしている
でも、レンとメールで話しをしているようだ

リン「明日、クラスで会ったらレン、どんな風に言うかな?」

夢の中のリンは、
どうやらレンとは違う家に住んでいて
幼馴染のふたりは同じ学校に通い、毎日を楽しく過ごしていた
今日もいつものように夜遅くまでメールをしている

でもリンは今日は、レンに送るメールの中では
いつものような元気に話してるのだけれど
理由のわからない、不安な気持ちでいるのが不思議だった

リン「今日は私ちょっと変だな・・・・、レンはのんきでいいわねぇ。」

リンはちょっと意地悪な、
レンを困らせたいような気持ち

リン「好きってメールしちゃおうかな・・・、でも、そんなの・・言えないよねー。あ、でも。」

リンは何か思いついた様子
学校での事をメールしていたリンは、レンから届いたメールに返信する

リン「ねぇ、レンは好きな人いないの?」

こうリンがメールすると
しばらくレンからの返信が途絶えた

リン「遅い・・・、なぁ・・。」

リンが困っているレンの顔を想像しながら、返信を待っていると
レンからのメールが届いた

リン「レン、好きな人いるんだ・・・・」

てっきり、いないとか変なこと聞くなとか言ってくると思っていたのだけれども
メールを見て、リンはびっくりしたけれど
それ以上にドキドキがとまらなくなる

リン「誰って・・・、聞いてみる?・・・・。」

リンはレンに好きな人が誰なのか聞くメールを送信する

ちっとも返信がこない
実際はそれほど時間が経っているのではないのだけれども、
リンにはすごく長く感じて、
ドキドキするのが息苦しいくらいにどんどん強くなってくる
ずっと携帯を手にしたままのリンに返信が届いた

リン「え、なに・・・、これ・・・・嘘・・・」

レンの返信には

レンの家の近所に住んでいる、緑色の髪のツインテールと
歌声がとてもきれいなお姉さんが好きだと書いてある
リンも知っている人だ

リンは返信する

リン「冗談やめてよ。」

今度はすぐに、レンから返信が届く
冗談じゃなくて本気だよ、と書いてある

リンはもう返信できなくなる
レンがしっかりと考えてそう言ってきたのだから
冗談ではない事がリンにはわかったから

夢の中のリンの瞳から
ボロボロと涙が零れ落ちる

夢の中のリンは、幼馴染のレンは、
自分を好きだと言ってきてくれると思っていたのだ

リン「こんなのない、おかしいよ・・・・。こんなのレンじゃない、私じゃな・・い・・」


朝の日の光がカーテンの隙間から、リンの部屋に射し込んでいる
リンはいつもの自分のベッドで目を覚ました

リン「・・・・・・」

リン「夢見てた・・・・」

頭がボーっとして
ついいましがた夢の中にいた事も、何も思い出せず何も感じない
リンはパジャマのまま着替えもせずに、そのままフラフラと部屋からでて行く

ルカ「また、リンちゃんだめでしょ。ちゃんと着替えて。」

それを、朝の支度をしているルカがみつける
リンは寝起きは悪く、いつも起きてしばらくは半分眠っている

リン「あ、うん、ルカ姉。うん。レンは?・・・家にいるんだっけ・・?」

ルカ「はいはい、みんなちゃんといますよ。ほら、だから心配しないで顔洗ってきてね。」


ルカに急かされてフラフラしながら、リンが鏡の前に立つと
寝癖のついた髪に、目の半分あいていない自分の姿
と、ここまではいつもの事なのだが

今日は、少し目が赤く見える

リン「あ、昨日・・・・。」

目が覚めて
眠る前と、夢の中での悲しみが蘇る
また、勝手に目に少しだけ涙が浮かんでしまう

リン「・・・、やだ・・・・。」

リンはすぐに顔を洗って涙をぬぐう

ルカ「ほらレン君、リンちゃんお願い。」

ルカが、まだぼんやりとしたレンの手を引いてきた
そのままレンを置いて、ルカはすぐ忙しそうに台所へ戻っていく

レン「朝ごはん出来てるけど・・・、リンは飲み物は何がいいかな。」

リンはレンの顔も見ない

リン「何でもいい・・・、後で行く・・。」

レン「あ、うん、用意しとく。」

ボサボサの金色の髪と寝癖をいじりながら
こちらを見ないリンに、レンは何か気が付いたようだ

リン「ちょっと、・・・・?」

かまわずにレンはドライヤーを手に取ると、後ろにまわってリンの髪を整えはじめた
霧吹きを寝癖のついた髪に吹いて、慣れた手つきでドライヤーをあててあげる

レン「今日は、ちょっと寝癖がすごいね・・。」

リン「うん・・・。」

おとなしくレンに髪を整えてもらうリン
いつもの朝の光景なのだが
今日は少しだけリンの目が腫れている

レン「怖い夢を見たの?・・・・」

リン「え・・、うん・・・」

レン「そう・・・、でも、・・怖い夢でも。
それは夢だから・・・、リンは何も心配しなくていいよ。」

レンがこうゆう風に言うのは珍しくない事なのだけれども
リンは、なんだかレンの様子も今日はいつもと少しだけ違うような気がしている

リン「レンは今日、夢見た・・・?」

レン「え、うん・・・、見たと思う、あんまり覚えてないけど・・。でも、リンも出てきてたよ。」

リン「そうなんだ・・、私どんなだった・・?」

レン「うん、えーと・・・、いつもと変わらないような感じだったかな・・?」

リン「ふーん・・・」


リン「ねぇ・・・・・、レンは今日・・・、いつもと違う?・・・」

レン「え・・・・?」

リンは不快な違和感ではなく
ただなんとなくいつもと違うように思える


レン「・・違わないよ、いつもと同じだよ・・、明日も・・・・」

リン「そっか、ちゃんとレンは夢の中で私にまたねって言ってあげた?」

レン「たぶん、言ってると思うよ、リンは夢によく出てくるからね。」


なんだかリンは嬉しそうでも、寂しそうでもあるような顔をする


リン「なんか・・・、レンみたいな事言っちゃった。」


レン「えー、僕みたいってどんな、」

メイコ「レンー、リンー、ご飯早く食べちゃってー、レンはごはんでいいわよねー。」

向こうで、メイコが大きな声でふたりを呼んだ

リン「はーい、今いくー、レン早く。」

リンが大きな声で返事をする

リン「レンはまた、ごはんと納豆なんだ。」

レン「うん、お腹すいたよ。」

レンがリンの前髪を急いで髪留めでまとめる

リン「じゃぁ、ごはんの作り方覚えなくちゃ。」

レン「え、うん・・・、僕は料理は難しくて苦手なんだよね・・・・、
あ、リンは飲み物何にするんだっけ?」

リンは先々の事で、ちょっと何か決めたような、何か予感がしたような

リン「え、私がだよ。朝ご飯はだって、私が作るからいいよ。」

レン「え、うん・・・・・、リンが料理できたらメイコ姉も助かると思うし・・・」

リン「え・・?」

レン「いや、僕ができればいいんだけど、どうしても上手くできないんだよねぇ・・・。」

そんな話しをしながら、リンとレンはメイコ達と
リンにはバターとマーマレードをたっぷりをのせたトーストとカフェオレ
レンには納豆と大根のお味噌汁と白いごはんが待っているリビングへ

しかし、ちょっとだけしょんぼりのレンと、なんだかちょっとだけ笑顔のリンである












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いつものようにミクがリビングでぼんやりとテレビを見ていると
音もなく、いつのまにやら背後いたカイトが声をかけた




カイト「えーと、ちょっと、いいかなミク・・・」



ミク「?」




うとうとしかけていたミクは
驚いた顔でカイトを見上げる




カイト「ちょっと、その、うん・・・、座りなさいね。」



ミク「座ってますけど・・・。」



カイト「あ、うん、そうだね。いや、ほら、怒ってるとかじゃないよ。うん。」



ミク「??」




呆気にとられつつ、怪訝そうにカイトを見つめるミクに、
まったく構わずカイトは話し始めた




カイト「ほら・・・、なんか・・・、最近、ちょっとそのミクはさ・・
着る物とか、ちょっと派手じゃないかなって思って・・・さ。
あと、・・。その、ちょっと・・・・、最近帰りが遅い日もあるよな・・・」



ミク「そう・・・ですね・・・・。忙しいので・・・」



カイト「え・・・?
いや、ほら、やっぱりもちろんみんなも、
ミクの帰りが遅い日とか、心配してるし。・・・やっぱり、」




ここでミクが、カイトの言葉を遮って




ミク「え、メイコ姉も?」



カイト「うん、そうだよ、メイコが言ってたから。ね。
メイコ姉さんが、ちょっと最近ミク・・・って言ってたからさ、
僕もミクがメイコに怒られる前に、僕から言ってあげようって思って、だから、」




またミクが言葉を続けようとするカイトを遮る




ミク「でも、帰る時間は、毎日メイコ姉に電話で言ってるけど。
その、迎えに来てもらってるし・・・」



カイト「あ、そうなんだ・・・・・、それならそうと、」




カイトは間の抜けた顔になるが、
まだ、なんとか体裁をとり繕う




ミク「だって、メイコ姉が言ってたからって・・・」



カイト「いや、そうじゃなくてさ・・・、そうなったらさ、
そうなったらミクが可哀想だから。
僕が、ね。」




ミクはどうにも様子のおかしいカイトを不審に思いつつも
カイトを納得させようと。ただ、何でもない事のように話す




ミク「あと・・・、私の色々な事も。遅くなるのとかもメイコ姉とは話してるから、
みんな知ってると思ってたけど・・・。
それに、着る服とかも好みに合わせたりするから。
そりゃカイト兄はちょっと嫌かもしれないけど、メイコ姉は応援してくれてるし・・・」



カイト「へ・・・・・・?」




カイトは魂が四散したような顔になる。




カイト「あ・・・・・?そう・・・・・・・・・、か・・・・・・・、
ちょっと、俺、いや、俺ちょっと先に用事があって、ほら、な・・・。」



ミク「え、うん。・・・・?」




そう言うと、カイトは急にふらふらと
おぼつかない足取りで玄関のほうにいってしまった。
そのまま、どこか出かけていったようだ。




玄関のドアが閉まる音と同時に、
様子をうかがっていたリンがこそっと現れる




リン「あれ、ミク姉、怒られてた?」



ミク「えー、うーん。怒られた・・のかなぁ・・・?」



リン「カイト兄なんて?」



ミク「帰りが遅いって。」



リン「忙しいもんねぇ。」



ミク「うん、みんな知ってるよねぇ。」




リンはミクのほどではないが忙しく、ミクの事情はよくわかるし。
ルカは今日はまだ帰っていない、メイコは今日はルカを迎えに行っている。




リン「でも、昔もたまにカイト兄。これしてなかった。」



ミク「え、あ・・・、てゆうかメイコ姉が怒ってて、カイト兄が正座してるのは見たことある。」




リンは、
少し前のレンの行動にも、何か納得した様子

なにやら思い違いをしたカイトは、消息不明である























ミク「さよなら。」

















メイコ「ミクちゃん、どんな夢だったの?、とても怖い夢だったみたいね。」

嗚咽をしながら涙を流すミクの背中を撫でながらメイコは
優しく問いかける

ミク「怖い夢見た・・、ミクが消えてなくなるの・・、消されて何もなくなるの・・
夢でよかったけど・・ホントの事なの。私、消えた・・」

メイコ「・・・・、夢みたいだけど、夢じゃないような気がするの?」

ミク「うん・・・、怖い・・・、私、悲しいのにさよならって言ってた・・・。」

メイコ「ミクちゃんが見たのが夢でもそうじゃなくても、ミクちゃんはいなくなってないわ。」

メイコ「明日も早いでしょ、寝ましょうね。」

ミク「うん・・・。」


メイコがミクが部屋からでると、
ミクの部屋のドアから少し離れた所で
カイトが待っていた

カイト「ミクは混乱してるみたいだね・・・」

カイト「ミクは大丈夫かな、メイコ姉さん。」

メイコ「うん、ミクちゃんは大丈夫よ・・・、大丈夫に決まってるでしょ。」

カイト「僕らはもう慣れてしまった事だけど・・・・姉さん・・・大丈夫?」

メイコ「・・・私は、まだちょっとつらいかな。」

カイト「夢なのか現実なのか、僕らには決められない事だけど。
姉さんが怖い夢を見たときは、僕が眠るまで一緒にいるからね・・・」

メイコ「そうねお願い・・・・、ありがとうね。」

メイコは意外なほど、素直にカイトの台詞にうなづいた。




















ミクが小さなアルバムを見ている

ミク「あれ、カイト兄がお花つけてる。」

ミクはメイコに子供の頃のアルバムを見せてもらっていた
大きな装丁の物ではなく小さな冊子のようなアルバム

写真の中の小さなカイトは、
クローバーで作られた大きな花飾りを頭にのせ、
手にも花飾りの輪を持ち、こちらに見せ
とても嬉しそうに笑っている

メイコ「小さい頃はカイトをよく遊びに連れていってあげてたのよ。」

ミク「えー、そうなの、カイト兄とは私はあんまり遊んでもらってないと思う・・
私も行きたかったのにー。」

メイコ「ミクちゃんは小さかったもの、
カイトもこうして一緒に遊んでたのはホントに小さい頃だけだったのよ。」

ミクは小さな頃、メイコによく遊んでもらっていた
女の子らしい遊びは全部メイコに教えてもらった
しかし、ミクには小さな頃にカイトと遊んだ記憶がほとんどなかった

ミク「メイコ姉、ちょっとカイト兄にどうゆう事か聞いてくるね。」

メイコ「えっ。うん、わかったわ、いってらっしゃいね。」

メイコはミクの剣幕に特に驚きもせず、カイトの部屋に向かうミクを笑って見送った

ほどなくしてミクが戻ってきた

ミク「カイト兄、いないみたい。電話する。」

メイコ「うん、たぶん。今はその辺りをウロウロしてるだけだから、
かけてみるときっとでるわよ。」

カイトへ電話をしようと携帯をとりだずミクを
メイコも全くとめる素振りもない

ミク「あ、でた。」

カイトは特にどこに向かうでもなく、いつもの散策ルートをウロウロしていた
次はどこをブラブラしようかそれとも帰ろうか、
どちらでも構わないような足取りで歩いていると、携帯が鳴った

カイト「ん、ミクか。」

ポケットから携帯を取り出す
カイトが携帯を耳にあてると、すぐにミクが話し始めた

ミク「カイト兄、聞きたい事があるんだけど・・・。」

カイト「え、どうかしたのか。」

ミク「小さい頃、どうして遊んでくれなかったの?」

カイト「・・・・ん?」

カイト「小さい頃って・・・・、誰が?・・・。」

ミク「私が。」

カイト「ミクが小さい頃、遊んでくれなかったの?・・・誰が?・・・。」

ミク「カイト兄が!」

カイト「・・・つまり、僕がミクの小さい頃、ミクと遊んでくれなかったって事?」

ミク「そう。」


カイト「・・・・・・?」


カイトは少し当惑の表情を浮かべると、割とすぐに話しを続けた


カイト「そうだったかな・・・、結構遊んでたと思うけど・・・。」

ミク「だって、クローバーもらってない。」

カイト「えぇっ!、クローバー・・・?、か・・・、あぁ、クローバーな、あれか・・・。」


メイコのアルバムには、もちろん
カイトが花飾りを得意げにしているページと同じページに

隣の写真でカイトが手にしている、クローバーの白い花がいっぱいに咲いた花飾りを頭にのせて
少し照れたように笑っているメイコの写真があった

何故かカイトには状況がわかったらしく、話しを続けた


カイト「いや、ほら・・・、そう。ミクはクローバーの曲を歌ってるよな。
このあいだのコンサートでも。」

ミク「え?う、うん。」

カイト「クローバークラブだよな、ダンスと衣装が可愛くてさ。」

ミク「うん。」

カイト「ミクは四葉のクローバーって知ってるだろ。」

ミク「うん、知ってるけど・・・・。」

カイト「だったら、貰ってなくないだろう。貰ってるだけじゃない、
みんなに音の四葉のクローバーを届けてるだろう?
ミクはLAのコンサートであの曲を歌ってる時、どう思った?」

ミク「え・・・、楽しかったけど・・・。」

カイト「みんな、喜んでくれてた?」

ミク「うん・・・」

カイト「なら、僕等はそれでいいだろう。それとそうだ、
今日、ミクに何かクローバーの絵のグッズ買ってくよ。」

ミク「え、うん、いつ帰ってくる?」

カイト「遅くはならないけど、あんまり高いものは期待するなよ。」

ミク「それは、わかってるもん。」

カイト「じゃ、ちょっと店を見てくるから切るよ。」

ミク「うん、じゃぁ後で・・・。」



カイトは電話を切ると
少し歩いて、また携帯で誰かに電話をかけ始めた



メイコ「ん、カイト?」

カイト「ちょっと、姉さん・・・」

メイコ「どした?」

カイト「ミクに・・・アルバム・・見せた・・よね・・。」

メイコ「見せたよ、カイト君がお姉さんの後ばっかりついてくる時の。」

カイト「・・・・・・・酷くない?」

メイコ「何言ってるのよ、妹が兄の成長を見たいって言うんだから、見せてあげないと。」

カイト「いや・・・、その・・、もう・・・。ちょっとごめん姉さん、疲れたのと、
買い物しないといけないから・・・また・・・。」

メイコ「そう、じゃ、遅くなるんじゃないのよ。」

カイト「うん、じゃぁ・・・」


メイコは電話を切ると
ミクが熱心に見ていた、小さなアルバムを手に取った

ミクはカイトに電話をかけると、そのまま自分の部屋戻って
カイトが電話してくる少し前まで話していたようだ

メイコは小さなカイトと自分の写真を
アルバムの透明なポケットからそっと取り出した

アルバムのポケットには、メイコとカイトが小さかった頃、
小さな手が摘んだ押し花のような四葉のクローバーが残っている























アメリカでの大きな仕事を終えた
ボカロ家ではたまの休日をそれぞれ過ごしていた

ミクはルカの部屋を訪ねた

ミク「ねぇ、ねぇ、ルカ姉、コンサート楽しかったねー。」

ミク「また、あんなステージで歌いたいな。」

ミク「いっぱい歌って疲れちゃったけどー。」

ルカ「ねぇー、ミクちゃん。」

ミク「なぁにー、ルカ姉」

まるっきり、意に介することなく
ミクが答える

ルカ「コンサートの衣装、ミクちゃん豪華だったわね・・・」

ミク「えー、早着替え、大変だったんだよー。」

ルカ「ミクちゃんは曲もたくさんで、どの曲にするか迷っちゃうわよねー。」

ミク「そうなのー、でもメドレーじゃなくて、みんなフルで歌いたかったなー。」

ルカ「ミクちゃん大人気ねー。」

ミク「そうなのー。」

ルカ「・・・・あ、ごめんなさいミクちゃん、ちょっと飲みにいくから。」

ミク「あ、うん。」

唐突にルカがそう言うと
ちょっと呆れ気味に

ルカ「私が主役のコンサートもあればいいのに・・・、ミクちゃんはいいわねぇ・・・。」

今度はミクが少し物憂げな顔になる

ミク「ルカ姉はコンサート楽しくなかった?・・・・・・・・・」

ルカ「え?・・・・・・・」

ルカ「そんな事ないわよ。」

ミク「え、でもでも。」

ルカはは少しだけ物憂で
しかし、優しい微笑みのまま

ルカ「私に歌って欲しい人の歌を、歌ってあげられて。」

ルカ「私の歌が聞きたい人達に、歌を聞かせてあげられたんだもの。」

ルカ「つまらないわけがないわよね。」

ミク「そうだと思ったよー、ちょっとびっくりしたかも。」

ルカ「ミクちゃん、カイト兄さん、呼んできてちょうだい、今日は飲むわよー。」

ミク「今日も。」























   
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